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行政・環境事件

八ツ場ダム建設差止訴訟

八ツ場ダムの建設差止事件の判決下される

(2011事務所ニュースより)

埼玉県を被告として八ツ場ダム建設への費用支出の差止を求める住民訴訟は、2004年にさいたま地方裁判所に提訴され、東京、群馬、千葉、茨城、栃木の各都県の裁判と連携を取りながら、進められてきました。約6年の審理を経て、2010年7月14日に判決が言い渡されました。

判決は、八ッ場ダムの利水面における必要性に関しては、原告らが主張する「水需要の予測、供給能力の評価及び八ッ場ダムによる水源の確保が不要であるとの評価が1つの評価としてありうる」ことは認めました。しかし、県が国土交通大臣による負担金納付通知や関係地方公共団体との協定により義務づけられた支出を行うことが『違法』と評価されるのは、その根拠とされる納付通知や協定が「著しく合理性を欠き、予算執行適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合」でなければならないと、県の支出の違法判断のハードルを極めて低く設定し、各種負担金の支出に違法はないと結論づけました。

また、最も注目されていた八ッ場ダムの治水上の必要性に関しては、原告側が、大雨の時にも伊勢崎市の基準地点には毎秒1万6750?/秒しか流れないから、それより下流の流量・水位の低減を図る施設である八ッ場ダムは不要となるとの主張を展開してきたのに対し、判決はその主張を十分理解せず、まったく見当違いの問題設定をし、ダムに治水効果を想定することは不合理ではないとの結論を導きました。

総じて、行政過程に対する裁判所による審査を通じて、行政過程の判断の適正さを高めるという行政訴訟の意義を理解しない、行政追随の判決と評価せざるを得ません。

裁判とは別に、民主党政権になって、前原前国交大臣が八ツ場ダムの中止を明言し、これに対して各都県がダムの負担金の拠出を拒否する動きもあり、他方で、馬淵新国交大臣が検証を明言するなど、政治的な動きが急であります。

今後も政治の動きをにらみつつも、事実と道理に基づいて、無駄なダム計画の問題点を東京高等裁判所で追及し続けることとなります。

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