労働関係
川崎化成・Kさんの過労死事件

この事件は、川崎のコンビナート内にある川崎化成という中企業において職長の職にあったKさんが、職場において脳出血で倒れるという被害にあった事案である。
この会社には、いわゆる合化労連(旧)に所属する戦闘的な労働組合と、上部団体を持たない労使協調型の企業内組合の2つの労働組合があり、Kさんは後者の組合に所属していた。
Kさんの遺族が、その死に不審を感じて、葬儀に参列した合化労連組合員に相談したことから、組合として、他労組の組合員の労災申請の問題に関与するという変則的な形で取り組みが始まった。
記録された残業時間の調査から、記録に残っていない残業時間の調査、さらには職場におけるストレス等の調査をして報告書として労基署に提出していった。
発症の前、フタル酸の流出事故をKさんが起こしていること、その責任追及を受けていたこと、固まってしまったフタル酸の除去の仕事に追われていたこと、発症の直前にきわめて高熱のタンク内の作業と、吹きさらしの外部作業を交代に行っており、血圧に悪影響のある激しい寒冷刺激を受けていたことなどを立証した。
労基署交渉を繰り返す中で、過労死に関するわが国の権威である上畑鉄之丞先生の医学意見書も頂き、労基署段階で労災認定に至った。