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労働関係

東京海上・横浜支店運転手くも膜下出血労災

働き過ぎによる脳・心臓疾患の労働災害、いわゆる過労死事案である。本件は、東京海上の横浜支店専属の運転手が、出勤途上に気分が悪くなり、いったん自宅に戻ったものの症状改善せずに、最終的にくも膜下出血による重い後遺症を負うに至った事案である。

損害保険会社の支店長自体が長時間労働であることは容易に想像できるが、その運転手は、早朝に支店長宅に迎えに行き、深夜に支店長が接待等を終えてからその自宅まで送り届けた上で、自分の家に帰宅し、車両の整備等を行う必要があり、輪を掛けての長時間労働であった。

幸い運転日報が付けられていたので、基礎的な労働時間の把握は可能であったが、自動車の整備等は事実上のサービス残業となっていた。

労災申請をしたものの労基署では労災とは認められなかった。最終的には、労基署長の決定を争う訴訟に持ち込まれた。原告本人は、重度の後遺症が残っており、妻もその介護に当たり、生活自体がやっとという状況であり、訴訟も弁護士主導にならざるを得なかった。

1審の横浜地裁は、過重労働と発症との間の因果関係を認めて、労基署長の不支給決定を取り消す判決を下した。本人尋問の際に、原告本人が気分が悪くなって尋問が中断され、救急車で搬送されるというハプニングもあった。

高裁では、一転して、敗訴。過労死事案の因果関係の判断の難しさが示された。

最高裁に上告し、因果関係の認定のあり方自体を正面から問うこととなった。当初悲観的な意見も多かったが、最高裁では、なんと逆転勝訴。はじめて最高裁の法廷で弁論を行うこととなった。

この逆転勝訴によって、本人には、当初の労災請求時にさかのぼって、障害補償給付が支給されることとなった。それに止まらず、この最高裁判決は、過労に基づく脳・心臓疾患の労災認定基準自体の見直しの契機となり、認定基準の改定という画期的な成果をあげることができた。

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