労働関係
教員アスベスト事件 上告棄却され、逆転敗訴の控訴審判決が確定
(2019年のニュースから)
弁護士 白石 加代子
埼玉県戸田市公立小学校の教員であった四條昇さんは、平成19年5月に中皮腫で亡くなられました。遺族は、平成26年7月、四條さんが死亡したのは勤務先小学校に使用されていたアスベストが原因であるとして、公務災害の認定を求め、訴訟を提起しました。第1審では、小学校にアスベストが存在し、四條さんは小学校の階段室天井のアスベスト仕上げ材から飛散したアスベスト粉じんにばく露した結果亡くなったものと判断し、遺族の請求を認めました。
しかし、被告が控訴し、控訴審である東京高等裁判所は、平成30年8月、不当にも、四條さんの死亡を公務外災害であると認定しました。控訴審判決を取り消すべく、最高裁に判断を求めましたが、最高裁は遺族の上告を棄却しました。
敗訴判決が確定したことは痛恨の極みではありますが、主たる争点であった小学校にアスベストが存在したことも司法上確定しましたので、教員がアスベストにばく露する危険があることを広く知らしめることができました。
埼玉アスベスト弁護団は、アスベスト被害の適切な救済を目指すべく、今後も尽力する決意です。