頸肩腕傷害などの労働災害があった場合に、治療が長期化してしまうことがままある。こうした慢性的な症状に対して、東洋医学的な治療方法として、鍼灸治療が有効であることは一般的に承認されているところであり、現に労災保険においても、針灸治療は、療養補償給付の一つとして認められているところである。しかし、頸肩腕傷害などの労災の治療が長くかかる傾向にあることに対して、旧労働省は、針灸治療については、一律に1年間を限度にしか認めないという通達を出して、形式的・一律の期間制限を課していた。


 働き過ぎによる脳・心臓疾患の労働災害、いわゆる過労死事案である。本件は、東京海上の横浜支店専属の運転手が、出勤途上に気分が悪くなり、いったん自宅に戻ったものの症状改善せずに、最終的にくも膜下出血による重い後遺症を負うに至った事案である。

 損害保険会社の支店長自体が長時間労働であることは容易に想像できるが、その運転手は、早朝に支店長宅に迎えに行き、深夜に支店長が接待等を終えてからその自宅まで送り届けた上で、自分の家に帰宅し、車両の整備等を行う必要があり、輪を掛けての長時間労働であった。


 北九州から、関東に出稼ぎで建設作業(配管作業等)に従事していたYさんが、作業中に脳出血を発症し、死亡したといういわゆる過労死事案である。

 この事件は、Yさんが、親しい職人を数人引き連れて出稼ぎに来ており、アパートを借りて共同生活をしていたことから、そもそもYさん自身が、事業者ではないか?労働者に該当するのか?という「労働者性」も問題となる事案であった。

 東京の中央労働基準監督署長は、労働者性は認めたものの、過労と発症の因果関係を認めず、労災申請を棄却した。しかし、この事案は、長時間労働の果てに、冬期において、便器の据え付けのために数10キロもある便器を中腰で支えている最中に脳出血を発症したものであり、その業務起因性は明かとも言うべき事案であった。


川崎化成・Kさん過労死事件・報告書表紙

 この事件は、川崎のコンビナート内にある川崎化成という中企業において職長の職にあったKさんが、職場において脳出血で倒れるという被害にあった事案である。

 この会社には、いわゆる合化労連(旧)に所属する戦闘的な労働組合と、上部団体を持たない労使協調型の企業内組合の2つの労働組合があり、Kさんは後者の組合に所属していた。

 Kさんの遺族が、その死に不審を感じて、葬儀に参列した合化労連組合員に相談したことから、組合として、他労組の組合員の労災申請の問題に関与するという変則的な形で取り組みが始まった。


川口教組・措置要求却下決定の取消訴訟(控訴審敗訴)の報告…南雲 芳夫

 東京高等裁判所第9民事部(大坪丘裁判長、陪席宇田川基、足立哲)は、2009年9月30日、川口教組・措置要求却下決定の取消訴訟において、さいたま地裁判決(2007年3月13日)に続いて、教員側の請求を棄却する極めて不当な判決を下した。地裁に続く敗訴を、忸怩たる思いで省みつつ、事案と判示内容を紹介したい。