正月休み明けに、みぞおちの部分に痛みがあるということで50歳代の男性Aさんが、埼玉県北部地域にある総合病院に受診した。休み明けで、外来が混雑している中、担当医師は充分な診察もなく、みぞおちの痛みを消化器系の痛みと判断して、ブスコバンという消化器の痛みを抑える注射をした。

 その後、診察室前で待機していたAさんは、「気分が悪い」といって、トイレに行った。付添で来ていた妻が、Aさんが、なかなかトイレから出てこないことを不審に思い、男性看護師さんに様子を見てもらったところ、トイレ内でAさんが倒れており、心肺停止状態となっていたという事件である。


 G県・M町も出資する第三セクターが運営するスキー場において、小学5年生の男子児童が、初級ゲレンデと初級ゲレンデの間にある沢に転落して、頭を打ち死亡した事件が発生した。通常の積雪量であれば、二つのゲレンデの間に沢があることは容易に認識できるが、この年は豪雪であり、沢の両側まで深く雪が積もり、注意しないと二つのゲレンデの間に沢があることに気がつかない状況になっていた。

 通例、スキー場は、ゲレンデの限界をしめすロープや網をはってゲレンデ外であることを表示し、かつ、そこから出ないように警告している。しかし、事故現場にはゲレンデ外であることを示す表示は何もなかった。このことから、小学生が対岸のゲレンデに直接行けるものと誤信して進んでしまい、沢に転落したものと思われる。

 法律上は、民法上の工作物責任が問題となり、両親が原告となり、スキー場の設置者に対して死亡事故に基づく損害賠償を請求する訴訟をさいたま地方裁判所熊谷支部に提起した。


 埼玉県内の大手スーパーの惣菜売り場前で、買い物客の高齢の女性Aさんが転倒して骨折事故を起こした。その現場には、惣菜の調理に関係した油が一部に残っていた。その油の存在と女性Aさんの転倒の間に、現実に因果関係があるか否かは必ずしも明らかであるとは言えなかった。

 しかし、事前の交渉の過程では、スーパー側は、惣菜売り場の前の床の状態が必ずしも十分ではなかったことを事実上認めており、その点では陳謝するという対応であった。


 埼玉県内のある中学校において、土曜日のサッカー部の練習中に、生徒Aが蹴ったシュートがゴール前にいた生徒Bの顔面を直撃し、生徒Bの目に視力障害・水晶体摘出等の後遺症が残ったという事案である。この事件については、当初、家族は事故後の対応が不十分であったとして学校側を強く非難する発言をしていた。しかし、実際の裁判では、ボールを蹴った生徒Aの責任追及が前面に出てくることとなった。

 私は、シュートを蹴ったとして賠償請求の矢面に立たされた生徒Aの側で裁判を担当することとなった。なお、生徒Bは、部活の監督が不十分であったこと、事故通報後の学校側の対応が不十分であったとして、生徒Aとともに、学校の設置者である地元の町自体も被告としていた。


 2000年4月から、民事再生法が施行されました。これは、典型的な例で言うと、営業収支だけから見ると十分維持できる会社が、多額の債務の負担で資金的に苦しくなり、将来倒産に至る可能性がある時に、会社を倒産させず、かつ経営者も交代することなく、裁判所の監督の下で再建させる制度です。