〜顧問契約は法律問題の「定期健康診断」〜

「弁護士」というと、争いになった事件について「裁判を依頼する」というイメージが強いかもしれませんが、弁護士の仕事は、裁判の代理に尽きるわけではありません。弁護士の上手な利用方法は、法律上の問題がこうした裁判に発展する前に相談相手として利用するという方法です。

 裁判は、医者の行う「手術」にたとえられます。病気が進行して「手術」という大胆な手段によるほか治療の方法がないというときに取られるものです。

 法律問題については、こうした「手術」=「裁判」が必要になる以前に、弁護士に相談することがより適切です。そうすることにより、事件が裁判に発展する以前に適切な手を打つことも可能ですし、また、裁判にならざるを得ない事件についても、より適切な対処が可能となります。


首都圏建設アスベスト訴訟

 アスベスト(石綿)は、これを吸引すると肺ガン・中皮腫などのガンを引き起こす発ガン性がある。そのため、現在では、法律によって製造等が禁止されている。しかし、戦後、特に高度経済成長とともに、石綿の輸入は伸び続け、特にそのうち7割程度は建材として使用されてきた。現在でも、現に建っている多数の建物にはかつて広く使用されていた石綿含有建材がそのまま残っている。よって、今後も、建物の補修解体等によって、これらの石綿含有建材から、石綿が飛散することが避けられない状態にある。解体作業に従事する労働者の安全衛生の側面からも、また、解体作業に隣接して居住する一般住民が曝露する大気汚染問題としても、重大な問題になることは不可避な状況である。


2011年事務所ニュースから

 石綿は、建設現場や工場内で働く労働者だけに被害を及ぼすものではありません。

 平成19年5月1日、小学校で教諭をしていたS先生が心膜中皮腫のため亡くなりました。

 中皮腫は石綿との関係が特に強く、石綿関連疾患の中でも非常に予後の悪い疾患ですが、S先生は建設現場で働いたこともなければ、小学校の教諭以外の職業に就いたこともありません。


2012年事務所ニュースから

弁護士 白石加代子

 昨年5月、家事事件手続法が成立し、「子ども代理人制度」が創設されました。

 子ども代理人制度とは、親権を争う事件など一定の事件につき、両親の代理人とは別に、「子ども代理人」である弁護士を子どものために選任する制度です。この制度により、子どもが弁護士を通じて自己の親権に対する意見を調停等にて主張することが可能になります。


 2012年11月28日、私たち曙ブレーキ工業被害賠償弁護団は、曙ブレーキ工業株式会社によるアスベスト被害につき、さいたま地方裁判所に訴訟を提起しました。

 曙ブレーキは、世界的な自動車部品メーカーであり、主に自動車用・鉄道用ブレーキの生産を行ってきましたが、近年までブレーキ製品の生産にアスベストを使用していました。そのブレーキ製品の製造過程において大量のアスベスト粉じんが発生したにもかかわらず、曙ブレーキは局所排気装置を設置したり、防塵マスクの着用を徹底するなどの措置を採らなかったために多くの従業員が粉じんを吸引し、その結果、肺がんや石綿肺などの石綿関連疾患に罹患し、健康を害したり、死に至りました。