民法は、嫡出子(婚姻している男女の間の子)と非嫡出子(父親と母親が婚姻していない子)との間で、親が死亡した場合の相続分を区別している。すなわち、非嫡出子の相続分は、嫡出子に比べてその半分とされている。

 その理由は、婚姻関係を尊重し、夫婦を中心とした家族の結びつきを強めることなどに求められているようである。

 しかし、こうした要請は、親に婚姻関係の尊重を求めることの理由とはなるものの、子の相続分に差をもうける合理的な理由とは言い難い。

 私が受任した相続事件で、セメント会社の役員が単身赴任先で、婚姻外の女性に子どもをはらませた事件があった。正妻が、その母親に相当額の「手切れ金」を渡して関係の清算をさせ、その結果、養育費等も一切支払いがなかったという事案である。父親の死亡後、死後の認知請求を行い、父親の兄妹などから血液採取を行い、血液鑑定の結果として父子関係ありと言うこととなり、死後認知の判決が下された。それを受けて、法定相続分による遺産分割請求がなされたが、この中で、非嫡出子の相続分の差別が、憲法14条の定める法の下の平等に反して無効であると主張した。

 関係する資料を多数提出し、裁判官を説得することに努めた。

 結果は、民法が非嫡出子について相続分について嫡出子と異なる割合を定めていることは、憲法14条に違反し無効であるという決定を勝ち取った。

 しかし、その後、東京高等裁判所に抗告され、憲法違反との主張は通らなかった。この問題は、その後、最高裁の判断により憲法違反とは判断されなかったものの、家族関係の変容は今後も続くところであり、議論は続くと思われる。